四万十高校生によるレポート
2021年 植生調査結果
調査日 | 2021年11月20日(土) |
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天気 | 晴れ |
調査メンバー | 四万十高校「結の森」妖精チーム、コクヨ社員・四万十町森林組合、高知県、四万十町 |
調査エリア | C地点(2006年間伐) D地点(2011年間伐) |
風当たり
日当たり
土の湿り具合
土を手に取り、強く握る。
乾: 手のひらに水分が残らない。
適湿: 手のひらに水分が残る。
湿: 指の間から水がにじむ。
過湿: 握らなくても水がしたたり落ちる。
階層ごとの高さと植被率
D地点の植被率はC地点よりも高く、特に草本層の植被率では大きな差が見られます。
※高さ・・・9地点のうち最も高いところの値
※植被率・・・9地点の平均値
出現種率
昨年に比べて草本層の種類数はC地点では大きく増加(21種→35種)、D地点では微減(28種→27種)しています。低木層の種類数はC地点(14種→10種)、D地点(17種→12種)どちらとも減少しています。
これらの結果から、C地点では低木層の種数と植被率の減少に伴って林床に入る光の量が多くなり、昨年度と比べ陽生植物たちにとって生育しやすい環境が形成されたのではないでしょうか。またD地点では低木層での種数は減少していますが植被率は増加しているため、一部の植物が優占し始めた可能性が考えられます。
1年前との比較<C地点・D地点>
まずC地点を一年前の結果と比較してみたいと思います。
高さ・植被率
全ての階層構造で高さの違いが見られています。高木層では著しい成長があったと考えられます。低木層ではシカが侵入している痕跡があったため、背の高い低木が倒れてしまった可能性が考えられます。
植被率は高木層で約22%、低木層では4.8%、草本層では21.3%の減少が見られました。
植物の出現種数 (※)
低木層・草本層で種数の大きな変化が見られました。昨年度と比べ、草本層でしか見られない植物が多く見つかりました。一方、低木層では種数の減少が見られました。植被率や上層の種数の減少のためか草本層の種数が大きく増加しました。
(※)高木層、低木層、草本層のそれぞれの層に重複して発見された植物は合計1種とカウント しています。
次に、D地点を一年前の結果と比較してみたいと思います。
高さ・植被率
高さは高木層で大きく上昇しており、低木層で低下が見られます。植被率は高木層において4.5%、低木層で10.6%、草本層では16.8%の減少がみられます。
植物の出現種数 (※)
植物の種類数は低木層では減少し草本層で微減しています。また昨年度とは同様に、それぞれの層でしか見られない植物がありました。
(※)高木層、低木層、草本層のそれぞれの層に重複して発見された植物は合計1種とカウント しています。
調査結果まとめ
C地点は間伐を行って15年、D地点は間伐を行ってから10年が経過し、どちらの地点も10年を超えました。それぞれの地点で植生が安定してきたように思いましたが、今年度も昨年度と異なる調査結果となり新しい植物も多くみられるようになりました。間伐によって多様性が生まれている証拠だと考えられます。2022年以降も1つの植物でさえ見逃さないような活動を行えるように頑張っていきたいです。
C,D地点では草本層、低木層、高木層の三つの層が見られる複層林が形成されています。天然林と同じく、水源の涵養、土砂災害の防止の機能も十分備えていることでしょう。今後も調査を行い、その変化をより観察していきたいです。