四万十高校生によるレポート
2022年 植生調査結果
調査日 | 2022年11月19日(土) |
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天気 | 晴れ |
調査メンバー | 四万十高校「結の森」妖精チーム、コクヨ社員・四万十町森林組合、高知県、四万十町 |
調査エリア | C地点(2006年間伐) D地点(2011年間伐) |
2地点それぞれについて、5m四方で9ブロックに分け、班に分かれて調査を行いました。
風当たり
日当たり
土の湿り具合
土を手に取り、強く握る。
乾: 手のひらに水分が残らない。
適湿: 手のひらに水分が残る。
湿: 指の間から水がにじむ。
過湿: 握らなくても水がしたたり落ちる。
階層ごとの高さと植被率
前年に比べC地点では高木層、草本層の植被率が約10~25%増加しています。
D地点は植被率が高木層では横ばい、低木層と草本層では前年より約10~20%減少しています。
※高さ・・・9地点のうち最も高いところの値
※植被率・・・9地点の平均値
出現種率
前年に比べて草本層の種類数はC地点では大きく減少(35種→24種)、D地点では大きく増加(27種→37種)しています。低木層の種類数はC地点(10種→8種)、D地点(12種→8種)となっており、前年に引き続き、どちらも減少しています。
D地点の草本層は植被率が低いにもかかわらず種類数が多い結果となりました。一部の植物が優占しているのではなく様々な植物がその空間に存在していると示唆されます。
実際に調査をした際にも、C地点では草本層のシダが非常に大きく成長しており、調査をするにしても身動きがとりにくい状況でした。一方、D地点は空間が開けており成長中の小さな個体も見つけやすい状況にありました。
1年前との比較<C地点・D地点>
まずC地点を一年前の結果と比較してみたいと思います。
高さ・植被率
注目したのは低木層の高さです。前年に比べて倍の高さになっています。高木層の植被率が前年では49.4%となっていたため、植物の成長に必要な光の量を十分に確保できたことが理由のひとつではないかと考えます。上層の植被率がどれだけ下層に影響するのかは不明ですが、もし、大きな要因であるとするならば、2023年の調査では低木層、草本層の高さ、植被率が減少することが予想されます。
植物の出現種数 (※)
引き続き低木層の種類数に減少が見られました。草本層の種類数は大きく減少しています。このことから一部の植物が優占し始めた可能性があります。これは高木層の植被率が増加したことにより、林床に届く光の量が変化し、育つ植物にも変化が及んだことによるものだと考えられます。
(※)高木層、低木層、草本層のそれぞれの層に重複して発見された植物は合計1種とカウントしています。
次に、D地点を一年前の結果と比較してみたいと思います。
高さ・植被率
高木層の植被率はほぼ横ばいでした。どの階層においても高さが減少しています。また、低木層、草本層は植被率も約10~20%程度減少しています。高木層の植被率が横ばいであったことから、林床に届く光の量に変化がなく、個体の成長があまり進まなかった可能性が考えられます。
植物の出現種数 (※)
植物の種類数は低木層では減少し草本層で大きく増加しています。
草本層の個体はひとつひとつが小さな個体であったため、種類数の増加の割には植被率が減少した結果となっています。
(※)高木層、低木層、草本層のそれぞれの層に重複して発見された植物は合計1種とカウントしています。
調査結果まとめ
C地点は間伐を行ってから16年、D地点は間伐を行ってから11年が経過しました。それぞれの地点で植生が安定してきたように思いましたが、今年度も昨年度と異なる調査結果となり新しい植物も多くみられるようになりました。間伐によって多様性が生まれている証拠だと考えられます。また、調査項目以外の要因が大きくなっているのかもしれません。実際、調査区画外ですが、所々でシカが食べない植物が目立つようになっています。シカなどの動物による影響も無視できない状況であるのかもしれません。
C、D地点では草本層、低木層、高木層の三つの層が見られる複層林が形成されています。天然林と同じく、水源の涵養、土砂災害の防止の機能も十分備えていることでしょう。今後も調査を行い、その変化を観察していきたいです。