職場風景 作物を育てる喜び、製品になる喜び

ハートランドだより

トラブルを乗り越えて リーダー 飯田 秀光
ひとつずつ理解してもらう努力を

障碍のある社員とのコミュニケーションは大変です。とくに、細部の指導には頭を悩ませることが多いですね。

たとえば、ふたつのことを続けていうと理解が難しい。「あれをやって、次にこれをやって」と指示しても、どちらかひとつのことしかできないのです。そのことがわかってからは、ひとつずつ教えるようになりました。

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「わかりました」をうのみにしない

彼らはすぐに「わかりました」と返事をします。わかってくれたんだと思って目を離すと、違うことをしています。返事はしたものの、実はわかっていないんですね。
最初に一番苦労したのは、この点です。

わかってもらうためには、何度も同じことをいい続けるしかありません。毎回、何度でも、くり返し指導します。

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マイペースで興味のあることだけ覚える
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個人の障碍の程度によって、作業の進み具合や理解は違います。創業から2年半が経ってもいまだに要領をつかめない社員もいれば、作業を教えてあげられるほど上達した社員もいます。
仕事を覚えるのが早い社員もいますが、基本的にはみんなマイペースです。

なかには、記憶力がよくて、興味のあることは1度聞いたらすぐに覚える社員がいます。1カ月前の昼食に何を食べたかまで覚えているんですよ。でも、仕事はなかなか覚えてくれません。仕事にももっと興味を持ってもらえたらいいんですけど。難しいようですね。

知識はものすごくあるのに、仕事には反映できないという社員もいますよ。能力が偏っているんだなぁと思います。できることとできないことに差があるのです。

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指示したあとのフォローが大切

なにができて、なにができないのか。気づいてあげて、手を差し伸べる必要があります。

蛇口の閉め方がわからない社員がいました。自宅の蛇口は目で見て「水が出た」「止まった」とわかるので、左右を考えずにただ回せばいいんですね。でも、ハウスの蛇口にはホースがついていますから、水が出ているかいないのかが見えません。蛇口を閉めたつもりで、開きっぱなしだったということがありました。

また、養液を流すパイプの蛇口を3つ開けるよう指示したのに、2つしか開いていないということがありました。必要な量の養液が流れなくて、作業はやり直しです。
仕事を頼んだあとは、必ずフォローをしなくてはいけません。

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いくつものトラブルを乗り越えて

これまでの2年半は大変なことだらけでした。
創業当初、ポンプ設備に不備があり、水が流れないということがありました。
循環ホースが外れて、地面が水びたしになったこともあります。
カビが発生し、ほうれん草が出荷できなくなったこともありました。

私たちにとって農業は初めての挑戦ですから、想定外のトラブルはあって当たり前です。一つひとつ対処を考え、改善し、スムーズな運営へと近づけています。

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障碍のある社員に驚かされた、嬉しい事件

障碍者と一緒に働いていると、大変なことがたくさんあります。でも、嬉しいこともありますよ。教えた仕事を覚えてくれたときは、嬉しいですね。

仕事はできるのですが、持続力、集中力がないという社員がいます。やたらと周りをキョロキョロ見ているなあと思ったら、ある日、教えてないことを「やりました」と報告に来ました。まさか、と思いながら確認したら、本当にできていました。キョロキョロしていたのは、私たちの作業を見ていたんですね。驚かされました。

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社員の自立をうながすために
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目標は、障碍のある社員だけですべての作業ができるようになることです。販売計画やコンピューターの管理などは別として、農作業の部分は私が助けなくてもちゃんとできるようになってほしい。

難しいことかもしれませんが、ひとつでも2つでもできることを増やして、近づいてもらえたら嬉しいです。
そのためにひとつずつ、何度でも、わかってもらえるまで指導を続けていきます。

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