PROJECT

擬似焚火環境を用いた
リフレクション効果の検証
株式会社KDDI総合研究所・技術協力|有限会社きたもっく・ソニー株式会社

テレワーク増加によるメンタル不調の予防・改善策や成長支援としてのリフレクションをテーマとした検証を開始。非日常空間によってリフレクションが効果的に実施できるという予備実験の結果を受け、オフィスに設置されたワークブース内に擬似的な焚火環境を構築し、リアルな焚火環境との比較をはじめ、オフィスで実施するリフレクションの可能性を探ってまいります。なお、本検証は、新しい働き方に関する研究を進める株式会社KDDI総合研究所と共同で取り組みます。

背景・目的

ハイブリッドワークの課題として、テレワークの普及に伴うメンタル不調が注目されています。特に、新入社員を中心とする社歴が浅いワーカーが社内で人脈を築きづらく心理的安全性が低いということや、周りの仕事の様子が見えづらいため、自身の仕事が上手くいっているのか、成長できているのか評価しづらいといったことが複合的に重なり、メンタルの不調に繋がっていると考えられます。

本検証では、メンタル不調の予防・改善策の一つとしてリフレクションに着目しました。リフレクションとは、「理想と結果との違いに焦点を当て、未来の行動改善策を練ること」とされており、「内省」という表現も多く用いられます。間違いやミスに焦点を当て原因や理由について深く探る「反省」とは異なる概念とされています。

また、リフレクションに関する予備実験の結果より、リフレクションの実施には焚火や川のせせらぎなどの自然の風景を見聞きするような非日常空間が有効であるという仮説が得られたため、オフィス内で擬似的にそれらの自然環境を再現すれば、同等のリフレクション効果が得られるのか、検証を開始します。

本検証の擬似焚火環境のプロトタイプ

本検証では擬似する自然環境として「焚火」を選定。KOKUYO OPEN LAB.に設置しているワークブース内をリアルな焚火環境に近づける複数のコンテンツを企画・構築しました。なお、各コンテンツの開発においては、有限会社きたもっくとソニー株式会社の技術協力を得ています。

【映像・音】きたもっくが運営し、焚火に集う宿泊型ミーティング施設として話題の「TAKIVIVA」において、様々なタイプの焚火・自然環境を撮影。リフレクションに適した焚火映像はどのようなものか、また、焚火のフェーズ(炎の勢いの変化)によって、リフレクションの進行をコントロールできないか、検証を進めます。

焚火映像イメージ

【香り】焚火映像に、より臨場感をもたらす香りを連動。KOKUYO OPEN LAB.で進めている別プロジェクト「香りが促すワーカーの行動変容に関する検証」にてソニーが技術協力した香り噴出装置および、小川香料株式会社協力による香料により、焚火の映像と連動した香りを噴出します。

【薪オブジェクト・手触り】薪をくべる動きの擬似体験ができる木製のオブジェクトを設置。KOKUYO OPEN LAB.に所在するデジタルファブリケーションスタジオ「 (0,0,0) studio genten」協力のもと、きたもっく製造の薪を木材加工機「ShopBot」で加工しました。起伏は2本で対になるように加工されており、薪を割るという体験も擬似的に表現しています。

オブジェクトイメージ

【光】ワークブースから見えるKOKUYO OPEN LAB.の天井には、そこに天窓があるように感じられる、大気中の太陽光を模した照明を設置。ワークブースがオフィスに設置されているという感覚を低減し、より自然を感じられる、より映像に没入できる環境を目指しました。

天井照明イメージ

今後の展望

リアルな自然環境と今回開発したプロトタイプの擬似自然環境において、リフレクションの効果に差異があるのか、検証を開始します。効果が明らかになれば、リフレクションに効果的な非日常空間をオフィス内に構築することで、ワーカーが客観的に自身を見つめ直し、不調に陥る前のケアや自己成長に繋げられる、プレミアムなオフィス空間の提案に繋げていきたいと考えます

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