
オフィスの無線通信利活用状況
働き方の変化や技術の進化に伴い、オフィス環境における無線通信の利用は急速に拡大しています。
例えば、ノートPCでのWeb会議、ビーコンを活用した社員の位置情報管理、スマートフォンで開錠できるロッカーなど、さまざまなシーンで無線通信が使用されています。しかし、無線通信が増えることで電波干渉の問題が発生したり、家具や壁が電波を遮ることで通信品質が低下する課題も出てきました。
今後のオフィス環境では、ロボットやスマートグラスなどのIoT機器も一般的になると考えられます。その際に、ただ機器を配置するだけでなく、電波の特性を考慮した空間設計が重要になります。そこで、誰でも簡単に無線通信の安定性を考慮したオフィス空間を設計できるツールの開発を開始しました。
開発システム「SmartPlaceMaker」
プロジェクトでは、電波の専門知識がないオフィス企画者でも、無線通信の状態を評価しながらオフィス空間のレイアウトを検討できる簡易無線通信可視化システム 「SmartPlaceMaker」 を開発しました。
SmartPlaceMakerは、3つの主要機能を備えています。
1. オフィス環境をシステム上に再現する
シンプルな操作で仮想オフィス環境を構築し、家具や無線通信機器の配置、ロボットの移動経路などを設定できます。
2. 各データの連携とシミュレーション実行
ユーザーは詳細な電波設定を行わなくても、ワンクリックでシミュレーションを実行し、通信環境の安定性を評価できます。
3. 電波強度・通信状態の可視化
ヒートマップ表示を活用し、電波の強度や通信速度を直感的に把握できるように見える化。
あわせて改善ポイントを示すことで、スムーズなトラブルシューティング・オフィスレイアウトの最適化が可能です。
このツールを活用することで、専門知識がなくても簡単に無線通信環境を考慮したオフィス設計が行えます。
本プロジェクトは、総務省による「電波資源拡大のための研究開発(JPJ000254)」におけるシステムの研究開発の一環として実施しました。