コクヨのマテリアリティ
-重点課題4-
循環型社会への貢献
コクヨのマテリアリティ 循環型社会への貢献
基本方針
コクヨは限りある資源を有効活用しお客様に価値をお届けするため、各拠点でリサイクル率向上に努めているほか、環境に配慮した商品・サービスの開発に積極的に取り組んでいます。今後はさらに、幅広いお客様が身近に手にしていただく商品を提供する企業として、個々人にあった捨てないライフスタイルを提案していくことを目指します。パートナー、お客様と共に資源循環の仕組みを生み出すことで、まだ使える資源を「捨てない社会」を牽引していきます。
マテリアリティ目標
アウトカム | 2030年チャレンジ目標 | 2024年コミット目標 | |
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KPI | |||
多くのパートナー、顧客と共に循環を生み出し「捨てない社会」をリードする | コクヨの循環参加者数が日本人口の16%を超え、社会の行動変化を生んでいる | コクヨグループ(海外含む)が取り扱う循環型商品売上高80%以上 | 循環指針に基づく新商品100% |
廃棄物(事業所、施工現場、棚卸在庫)のリサイクル率100% | |||
循環型社会に向けた実験を多数行い、共感する仲間を増やしている | コクヨの循環指針に賛同するサプライヤー数100% | 主要サプライヤー(約400社)の評価・改善項目フィードバック100% |
2023年実績と2024年計画
2023年の実績 | 2024年の計画 |
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推進のためのしくみ
循環指針「SUTENAI CIRCLE」
コクヨグループは循環型社会への貢献をマテリアリティのひとつに掲げ「多くのパートナー、顧客と共に循環を生み出し、捨てない社会をリードする」というアウトカム実現に向け活動をしています。2023年に循環指針「SUTENAI CIRCLE」を作成しました。循環の輪を閉じ、循環速度を緩やかにするために、A〜Gの7の領域の中でも特に「D 使用」「E 回収」「F 再資源化」の3つの領域を強化し、ユーザーや静脈産業とのコミュニケーションを通じて、真に循環する製品へのシフトと循環のためのサービスを展開していきます。
コクヨグループの取り組み事例
循環型商品・サービス
全社:体験型環境学習プログラム「つなげるーぱ!」
文房具を利用する日本全国の子どもたちと、ノートの作り手であるコクヨ、さらに資源再生に取り組む人々がひとつになり、地球環境の保全を考える環境学習プログラム「つなげるーぱ!」を開始しました。使い終えたノートを子どもたちが主体的に回収し、再びノートの一部の原料として生まれ変わった製品を手にするプロセスを通じて、社会を循環型に変革し、持続可能な未来を作る体験を提供しています。2023年度は86校(約2.15万人)の児童に申し込みいただき、約1.5万冊(約2トン)のノートを回収しました。
ステーショナリー事業:キャンパスノート<つなげるーぱ!>
環境学習プログラム「つなげるーぱ!」に参加いただいた小学校から回収した使用済みのノートを、新しいノートの表紙(裏表紙)原料の一部に再利用し、小学生向けのノートを作りました。ノートが再びお客様のもとに届くサイクルを作り出すことで、資源としての価値を落とさずノートからノートへとなる水平リサイクルにチャレンジしています。本商品を通じて、様々なものを「捨てない」で活用する方法がないかを考える機会になることも意図しています。
ファニチャー事業:ロングライフ設計
「Co・S・M・Oコンセプト」は、複数のシリーズをプラットフォーム化し、必要に応じて組み換えや交換が可能なシステム。構造体は高い耐久性を持ち、各ユニットは環境への配慮を高めた設計を行い、軽量化や最小化により物流時のCO2低減へも貢献します。また、ロングセラー商品の保証年数を従来の3年より延長した「10年保証制度」を2022年から開始するなど、永く心地よくご愛用いただける商品・サービスづくりに取り組んでいます。
ビジネスサプライ流通事業:Loopa
オフィスから排出されるさまざまな紙資源を「簡単に」「便利に」「安心して」リサイクルできる「カウネットLoopa(ルーパ)」のサービスを開始しました。紙パック・紙コップ、機密文書、ミックスペーパーの回収・リサイクル等を展開しております。さらに今後は、リサイクルしやすい設計・製造の取り組みを進め、より多くの資源循環の実践を推進します。
インテリアリテール事業:家具の一生をサポート
廃棄される家具をなくすため、家具の一生をサポートする3つの仕組みを整えています。
- 家具をずっと使い続けるための修理やメンテナンスサービス。
- ご家族構成の変化やお引越しなどでやむなく家具を手放される際の下取りとお買い換えのサポート。
- 古くなったり壊れたりしてしまった家具の100%リサイクル。
物流部⾨の取り組み:心地よく長く使うための「クリーニング」
イスをはじめとした布製品全般のクリーニングを推進しています。油性ペンが付着した跡やコーヒーをこぼした際の染み、長年の間に蓄積した汚れを専用の洗浄機で吸引し、同時にフレーム・座面裏・脚も拭き上げ。新品同様の清潔な状態で新たにご使用いただけます。クリーニングを通して、ひとつの商品を長くご使用いただくロングライフ化を推進しています。(対象エリア限定で推進中)
廃棄物対策
2023年のコクヨグループ(41社)の事業所からの排出物量は、22,472トン(前年:20,124トン)、リサイクル率は93.8%(前年:95.9%)となりました。施⼯現場廃棄物量は4,015トン(前年:4,628トン)、リサイクル率81.8%(前年:82.3%)でした。施⼯現場廃棄物の処理に関する元請責任が明確化され、排出事業者の責務がますます強化されています。施⼯現場で加⼯する部材の発注⽅法の⾒直しなどによる廃棄物の抑制に努めました。施⼯現場廃棄物は均⼀ではなく、いくつもの種類の廃棄物が混在しているためリサイクルが困難なケースが多いのですが、排出抑制とともに、今後も継続して廃棄物の適正処理とリサイクル率100%を⽬指していきます。
発生抑制
芝山工場での廃棄物の排出抑制・リサイクルの取り組み
芝山工場では毎年約500トンの産業廃棄物を排出しています。2023年はリサイクル率向上と資源として再利用されるマテリアルリサイクル向上に取り組みました。発生する産業廃棄物を適正に分別することにより、リサイクル率を3%向上させました。また、リサイクルの難しかったガラスくずを再資源化できる処分業者との協力によりマテリアルリサイクルを進め、2023年は約20%をマテリアルリサイクルとすることができました。これからも継続して産業廃棄物の排出抑制とリサイクル向上に取り組みます。
再利用
折りたたみコンテナを使用した段ボール資材を使わない省資源配送
コクヨ商品販売店様に対し、折りたたみコンテナの活用による梱包資材の削減を実施しています。通常は段ボール梱包によるお届けとなり資材は販売店様の元で廃棄されますが、折りたたみコンテナを使用した商品のお届けにより配送に伴う使用資材を減らし、定期的にコンテナを回収することで物流の視点からも持続的な循環型社会の形成に貢献しています。
梱包資材や緩衝材の回収・リユース
輸送時の衝撃から製品を保護するために使用されている梱包資材や緩衝材の回収・リユースに努めています。デスク天板の角を保護する為のカバーや、収納庫の扉が開かないようにする為のストッパーなど、一部の資材で運用が開始。輸送完了後に都度廃棄してしまうのではなく、回収し、再度使用することで、プラスチック資源の有効活用を推進しています。
再利用&再資源化 使用済み商品のリユース・リサイクル
物流倉庫で使用されたストレッチフィルムの再製品化
カウネット物流倉庫や、コクヨロジテム配送センターで使用した荷崩れ防止用のストレッチフィルムを回収し、中間処理を経たのち再資源化しています。今まで廃棄していた資材をもう一度自社商品に使用する資源として活用することで、製品原料の削減とプラスチックの焼却処分量を減少し、環境にやさしい資源循環を実現しています。
回収家具のリユース・リサイクル
商品をお届けした際に、お客様のもとで不要になった使⽤済み商品を引き取り、状態に応じてリユース・リサイクルする取り組みを続けています。コクヨロジテムでは2023年にオフィスデスクや事務⽤イスなどの使⽤済み商品を約2,758トン引き取り、そのうち約199トンをリユースし、リユースできないものは解体・分別してリサイクルしました。
教育研修
循環型社会を学ぶワークショップの実施
循環型社会を実現するためには、多くのコクヨグループ社員が循環型社会とは何かを理解し、循環を阻む課題を知る必要があります。そのために2023年は「ごみゼロゲーム」を活用したワークショップを実施しました。各チームで「こうしたらまだ使えるのでは?」と-5ポイントになる埋め立て回避のための会話が活発に行われ、参加者それぞれのごみに対する価値観や普段の生活の中での気づきなどが共有され「捨てる」という行為を考え直す時間となりました。
サステナブル調達の取り組み
2022年からサプライヤーに対して実施しているサステナブルな取り組み状況を確認するためのアンケートを2023年も533社に対して実施しました。うち482社から回答があり(回答率90.4%)、回答頂いたサプライヤーには結果をフィードバックしました。2024年も引き続きすべてのサプライヤーから回答をいただけるよう取り組みを推進します。また紙・木材といった森林資源を多く使用する企業の責任として「紙・木材調達基準」の運用も開始します(参考:自然共生社会への貢献)
サプライヤー数 | 533 |
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アンケート回答社数 | 482 |
回答率 | 90.4% |
外部からの表彰・評価
NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネットが開催する「産官民連携が生み出す紙資源リサイクルの可能性」と題した対談イベントにて、「カウネットLoopa(ルーパ)」の取り組みが、オフィスにおける紙資源循環の取り組みを高く評価いただき、NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット理事長 鬼沢良子氏から感謝状を授与されました。
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循環社会タスクフォース活動3年⽬をむかえて
オフィス家具の回収・リサイクル化の実験
使用済オフィス家具を構成する素材のうち、金属の多くはリサイクルされますが、プラスチックや木質材等は焼却や埋立て処分に回る割合が高いという現状があります。我々が「捨てない社会をリードする」為に、この事実は重要課題と捉えています。そこで自社製品を回収し金属以外の素材も取り出し~再資源化する実験を進めています。これは一企業では成しえません。回収・中間処理・リサイクルの各専門パートナーと共に「循環型社会への貢献」を共通の志とし、試行錯誤を重ねながらリサイクルスキーム構築に向けた挑戦を続けます。
お客様とサプライヤーと一緒に取り組む「捨てない工夫」
コクヨの考える「捨てない社会」の実現にはお客様とサプライヤーにコクヨの取り組みに参加・協力をし続けてもらえることが必要です。コクヨの通販「カウネット」の流通機能を活用した資源リサイクルサービス「カウネット Loopla(ループラ)」でお客様のオフィスの不要なクリヤ―ホルダーを回収し再資源化をおこない、そしてサプライヤーの協力を得て、ペンや修正テープ、ストレージなどオフィスに欠かせないアイテムの一部に生まれ変わるという取り組みが実現しました。これからも私たちが取り扱う商品ひとつひとつと向き合い、「捨てない工夫」を取り入れた商品を増やしていけるよう取り組んでいきます。
子どもたちといっしょに考えるノートの資源循環
循環社会を実現するためには「現在」だけでなく、「未来」を見据えた活動を継続することが大切です。小学生向けの環境学習プログラム「つなげるーぱ!」では、子どもたちが普段から使う身近なノートで水平リサイクルを体感していただくことで、資源循環を自分ゴトとして捉えてもらえるキッカケづくりを進めています。これからもこの活動を広げていき、より多くの子どもたちに参加いただくことで未来の「捨てない社会」を実現していきたいです。
関連情報
プラスチック資源循環の取り組み
2023年のコクヨグループで排出される廃プラスチックは、3,486トン、リサイクル率は90.3%でした※。事業内容別の内訳では、物流部⾨での排出が最も多く、施⼯現場、製造(⼯場)での排出量が多くなっています。コクヨグループでは、廃プラスチックの排出抑制とともに、リサイクル率の向上、リサイクルの質向上(サーマルリサイクルからマテリアルリサイクル)に取り組んでいきます。
プラスチック資源循環促進法に基づき、国内事業所の産業廃棄物としての廃プラスチックについてデータをまとめています。
廃プラスチック排出量(国内)(t)の推移
年 | 発生量 | リサイクル量 | 最終処分量 | リサイクル率 |
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2019 | 4,108 | 3,819 | 289 | 93.0% |
2020 | 3,229 | 2,981 | 248 | 92.3% |
2021 | 3,769 | 3,515 | 254 | 93.2% |
2022 | 3,535 | 3,145 | 391 | 88.9% |
2023 | 3,486 | 3,149 | 337 | 90.3% |
事業内容別の廃プラスチック排出量(t)
グループ会社毎の廃プラスチック排出量(t)
プラスチック資源循環促進法で、前年の排出量が250t以上の場合、多量排出事業者の対象となります
オール紙シリーズ
商品のすべてを紙で作った、ファイリング⽤品シリーズです。発売は2004年3⽉で当時は紙・樹脂・⾦属などに区分して分別することなく、そのまま廃棄できるため処理する際にも⼿間がかからないことで好評を得ていましたが、最近は世界的な海洋プラスチック問題の⾼まりを受けて、脱プラスチックの観点で再評価されてきています。2020年には、中の書類が⾒える窓が付いた分別廃棄不要のオール紙製ペーパーホルダーやオール紙製フラットファイルの厚とじタイプ追加など商品の拡充に努めました。
尚、オール紙シリーズは、環境省が世界的な海洋プラスチック問題の解決に向けて、個⼈・⾃治体・NGO・企業・研究機関など幅広い主体が連携協働して取り組みを進めることを後押しするために設⽴した「プラスチック・スマートキャンペーン」に参画しています。
クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)への参加等最新技術動向等を掴みながらプラスチック問題への対応を進めていきます。
プラスチック資源利用量を削減した商品
ファニチャー事業では、商品の樹脂部分に、使用済み漁網や製品製造端材などの廃棄材をリサイクルした樹脂を積極的に採用し、これらの素材に関する情報をホームページなどで公開する取り組みも進めています。また、製品の廃棄時に少しでも多くの素材のリサイクルを可能とするため、できる限り単一素材に分解できる製品設計としています。