コクヨのサステナビリティ CSV本部長メッセージ

CSV本部長 メッセージ 事業を通じたマテリアリティの解決により
社会価値と経済価値の両立を実現する。

執行役員 監査委員会室長 兼 CSV本部長梅田 直孝

「社会課題の解決」が文化として根付くコクヨ

コクヨの人材の特性として、社会課題の解決に自ら積極的に向き合う姿勢があると考えます。これはコクヨの「強み」とも言え、文化として根付いている思想でもあります。

社会環境が変われば人々の価値観も変わり、当然、お客様のニーズや解決しなければならない社会課題も変化します。コクヨが環境変化に対応できるのは、いかに社会が変化しようとも「課題に向き合う」姿勢を持ち続けることが所与となっているからだと考えます。既存の製品やサービスではお客様の要望に応えることが困難な場面に遭遇した場合でも、アイデアを持ち寄り、組み合わせを工夫し、時にはお客様と共創することにより、それらを打破してきました。そして、新しい価値を創造し続けることで、社会課題の解決に貢献してきたのだと考えています。コクヨに根付いたこのような姿勢は、社会のワークやライフが変わっても世の中に価値を提供できる「強み」であり、コクヨならではの文化として根付いています。

社会価値と経済価値を両立するコクヨのマテリアリティ

第3次中期経営計画「Field Expansion 2024(以下、FE2024)」では、5つのマテリアリティおよびKPIを設定し、マテリアリティの解決に向けて取り組んでいます。

コクヨでは、SDGsなどの社会的な課題を参考に2020年に初めてマテリアリティを特定しました。しかし、何のためにマテリアリティに取り組むのかという点について社員の納得感が希薄であり、全社を挙げての取り組みが思うように進みませんでした。そこで、2022年に「ワクワクする未来のワークとライフをヨコクする。」というパーパスを策定し、まずはあるべき姿を明確化しました。さらに、コクヨが実現したい未来シナリオ「自律協働社会」の実現を掲げ、向かう方向性について合意し、その上で現在のコクヨらしいマテリアリティに見直したという経緯があります。

以前は、コクヨ社内においても、サステナビリティは単に社会貢献活動であるというイメージがありました。しかし、マテリアリティの見直し以降、事業を通じていかに社会課題を解決するかというサステナビリティの本質について、理解が深まっていることを実感しつつあります。元々培われてきた、「課題に向き合う」姿勢があったからこそのスピード感だったかと思います。一方で、コクヨが全社として実行しようとしていることの意味を個々人が真に理解し、行動できるまでにはまだまだ時間がかかると思いますが、少しずつ成果も見え始めています。

例えば、日本の森林が間伐不足により森林本来の機能が失われていることに着目し、間伐材を利用した製品を2000年初頭から販売しています。2006年には高知県の四万十町で「結の森プロジェクト」を立ち上げ、森林保全活動にも着手しました。これまで間伐材の利用は官公庁向けが主でしたが、国産⽊材の活⽤を通じて⼈と⾃然がより良く共⽣する社会へ貢献することを⽬指す⽊製家具ブランド「yuimori」を上市しました。このように、コクヨでは森林の適切な管理を行いながら地域経済にも貢献する、環境と経済の好循環を生み出す、コクヨならではのサステナブルな事業として取り組みを進めています。全ての活動は事業とのつながりのもとで実行され、また、従業員の能動的な取り組みにより推進されています。これらのコクヨらしい取り組みの一つひとつが、今後の企業価値向上に必ず結びつくものと考えています。

FE2024で定めたマテリアリティおよびそれらに付随する2030年チャレンジ目標と2024年コミット目標は、非常に意欲的なものとなりました。

特に、5つのマテリアリティとして掲げている中でも、「社内外のWell-beingの向上」と「森林経営モデルの実現による事業領域拡大」は、コクヨが企業として「自律協働社会」の実現に貢献することで社会をより良いものにしていきたいという想いを強く表していると言えます。

これらの取り組みに係るKPIの進捗により、社会的価値や経済価値の両立を目指すことはもとより、活動の意義や主体性を社内に根付かせることを意識してマネジメントしています。一方、株主・投資家をはじめとするステークホルダーの皆様には、マテリアリティへの取り組みがいかにして経済・社会的価値を創出していくのかを、これまで以上に、具体的かつ論理的整合性をもって説明していく必要があります。第4次中計を見据え、これらの課題感を認識しつつ取り組みを推進していきたいと思います。

「なるほど!」という事例を多く生み出すことが大事

私は、お客様のニーズとは社会課題そのものであると考えています。些細なお困りごとや「こうだったらもっと使いやすいのにな」というちょっとした不便に対し、「なるほど!こういうモノがあると便利だね」と思える商品を生み出すことは、立派な社会課題の解決と言えます。そしてコクヨには、小さな社会課題であってもその課題の解決に全力で取り組もうとする組織風土があります。売上・利益などの短期的な財務目標との両立が難しいシーンもあるかと思いますが、一番重要なのはお客様目線で困りごとを解決することであり、それこそがコクヨが社会に存在する意義だと考えています。

そして、「困りごとの解決」の積み重ねが、ひいては持続的な経済価値向上に結び付くのだと考えています。一方で、社会価値と経済価値の双方を創出し続けるためには、社員の工夫やアイデアが不可欠であると同時に、それらを明示的に表現し継承していくことが必要です。もともとあった暗黙知のようなカルチャーが、パーパスや、マテリアリティ等で言語化されたことで、コクヨが目指す方向性が明確になり、社員にも会社の意思を伝えられるようになりました。「なるほど!」と思えるコクヨならではの課題解決には、我々の強みである「クリエイティビティ」を発揮することが不可欠です。

ひとつでも多くの「なるほど!」に気づき、それらを通じて経済価値の創出を同時に実現していくことが、コクヨらしい事業のあり方であると考えます。社会にあふれるそれらの課題に気づき、向き合い、かつ会社として対外的に広く訴求していくことで、社員自身が自分のやっている仕事に誇りを持つことにもつながるでしょう。社会の小さなお困りごとに気付く人、相談に応じてくれる人、ソリューションを提案してくれる人がコクヨの社内には多く存在します。それらの重要な資産を見える化し、つなげ、コミュニケーションできる場をつくっていくことが私自身の重要な役割と認識し、取り組みを加速させていきたいと考えています。

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