障碍のある社員たちと一緒に働いていると、学ぶことがたくさんあります。障碍者に接するうちに、世のなかには多様な価値観が存在しているのだと気づかされました。
サングラスをしている人と、していない人では見える景色が違いますよね。また、泣くほど感動した本を人に勧めたのに、あまり感動しなかったといわれることもあります。
そんな風に、人によって見えているものが違う、大切に思うことが違う。
そのことに気づいてから、私自身、人との接し方が変わりました。多様な価値観を受け入れようと思うようになり、気持ちが広くなったような気がします。
障碍者雇用は、やり方次第です。それは違う、ダメだといい続けると、彼らの笑顔はなくなっていきます。頼りにされ、役に立ち、褒められてこそ働く意欲が出てきます。夏場のハウスは40度以上になることもあります。そんな環境でも活き活き働いています。その原動力は自分の仕事を自覚て働いているからだと思います。
神経症でもないのに、いつまでも丁寧に手を洗うのが好きな社員がいます。「やめなさい」というとストレスになるので、好きなだけ洗わせています。それだけ洗えばとってもキレイになるねと言うと「世の中で初めて認められた」という顔をして喜んでいます。
障碍者にいきいきと働いてもらうためには、彼らの気持ちを察して、同じ目線で会話をすることが大切です。そして、適度に手を差し伸べる。当たり前のことですが、難しいことでもあります。
世の中には障碍を持っているというだけで働けない人が多くいます。
ハートランドでは、『働きたい』を支援するために社会適応訓練や就労困難者への職場体験の受け入れ、支援学校の実習訓練の実施なども行っています。
就労支援リハビリセンターの方が見学にいらしたときに、仕事を怠けていた社員がいました。センターの方が「○○くん、仕事をやめて、もういっぺんセンターに戻るか?」というと、その社員は「絶対に嫌だ!」といって仕事をがんばり始めました。
障碍のある社員にとって、一番つらいのは働けなくなることです。
ですから朝早くて眠くても、夏場、暑くて疲れても、彼らは毎日会社にやってきます。生きていくためには仕事が必要だと自覚しているのです。働くことの喜びをわかっているんですよ。
洗浄機をつかい、コンテナを洗う。「仕事は楽しいです」と笑顔を見せる。
「もっといっぱい仕事したい。ベッド洗浄をもっとたくさんしたい」と意欲的。
ハートランドは障碍者が主役の会社です。ですから、彼らが幸せになるための会社をつくりたいと思っています。
幸せというのは、人に愛されたり、ほめられたり、役に立ったり、人に必要とされたときに実感できるのだそうです。(日本理化学工業、大山泰弘氏)
仕事をしていると、幸せを実感できる機会に恵まれます。「君がちゃんとやってくれないと困る」とか「この仕事をしてくれてありがとう」といわれて、幸せを感じられるのです。それは仕事のやりがいになりますし、人としての生きがいにもなります。
生きるということは、必要とされ、働いて、自分で稼いで自立することです。障碍者が幸せを感じ、自立できるための会社をつくっていきたい。そのために私たちは、「助け、助けられ、明るい会社をつくりましょう」というスローガンを掲げています。