コーポレートガバナンス
基本的な考え方
当社グループは、創業以来、「商品を通じて世の中の役に立つ」という企業理念の下で事業を拡大してきました。この理念は創業の精神として大切に受け継いでいますが、世界の大きな変革期の中で、新しい時代に対応した理念と価値創造の在り方として、企業理念を「be Unique.」と定めています。この理念には、「当社の商品・サービスを通じて得られる“体験”という価値を通じて、お客様の創造性を刺激し、お客様の個性を輝かせたい」という思いを込めています。
これまで当社グループの持続的な成長を支え、推進してきたものは、株主・顧客・取引先・従業員・地域社会等のステークホルダーとの間に築かれた良好な信頼関係であります。今後も当社グループが培ってきたこうした有形無形の財産を企業価値の源泉として守っていくことが大変重要な課題であると認識しています。
コクヨらしさのもと持続的かつ長期的な企業価値の向上を実現するため、経営の体制及び運営にあたっては上記に加え、効率性、透明性、公正性を高め、継続的な充実に取り組んでまいります。
コーポレート・ガバナンス体制
当社は、2011年に独立社外取締役を招聘した上で人事・報酬委員会を任意の機関として設置し、執行と監督の分離を目指してまいりました。2015年にCEOサクセッションを行い、2020年から取締役会の議長を社外取締役が担っております。そして、さらなるコーポレート・ガバナンス体制の充実を目指し、2024年3月28日開催の第77回定時株主総会終結の時をもって、監査役会設置会社から指名委員会等設置会社へと移行いたしました。当社は、この体制のもとさらなるコーポレート・ガバナンス体制の充実化を図っていきます。
1. 取締役会
当社の取締役会は、社外取締役6名を含む計9名で構成され、議長は社外取締役が務めています。
取締役の任期は1年とし、経営環境の変化へより迅速に対応できる体制を整えています。
取締役会の開催状況は、原則として毎月1回開催している定時の取締役会のほか、必要に応じて臨時の取締役会を開催しています。
当社は、経営の監督と業務執行の機能を分離し、取締役会は、コクヨグループ全体の経営方針の決定及び事業計画等の重要な意思決定を十分な議論を経て行うとともに、業務執行を監督する機関に特化しています。
2. 指名委員会
当社の指名委員会は、社外取締役4名で構成され、委員長は指名委員会の決議によって選定された社外取締役が務めています。
指名委員会は、株主総会に提案する取締役の選任・解任に関する議案の決定、並びに取締役会へ上程する執行役・執行役員の選任・解任及び代表執行役・役付執行役の選定・解職に関する議案の検討を行います。
同委員会は、3名以上5名以下の取締役指名委員で構成し、その過半数を独立性を有する社外取締役としています。委員長も、原則として社外取締役の委員の中から指名委員会の決議をもって選定されます。指名委員会での決議又は審議内容については、指名委員会に選定された指名委員が適宜・適切に取締役会に報告します。
3. 監査委員会
当社の監査委員会は、社外取締役3名を含む計4名で構成され、委員長は監査委員会の決議によって選定された常勤の非業務執行取締役が務めています。
監査委員会は、執行役及び取締役の職務の執行の監査、監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の選任、解任及び不再任に関する議案の内容の決定等を行います。また、監査の実効性を確保するため、監査委員会は、各事業及び機能責任者と定期的に意見交換を行うとともに、内部監査部門及び主要子会社の監査役と緊密に連携できる体制を整えています。
同委員会は3名以上5名以下の取締役監査委員で構成し、その過半数を独立性を有する社外取締役としています。監査委員会での決議又は審議内容については、監査委員会に選定された監査委員が適宜・適切に取締役会に報告します。
4. 報酬委員会
当社の報酬委員会は、社外取締役3名で構成され、委員長は報酬委員会の決議によって選定された社外取締役が務めています。
報酬委員会は、取締役、執行役及び執行役員に関する報酬制度、当該制度に基づく個々の取締役、執行役及び執行役員の報酬等を審議・決議します。
同委員会は、3名以上5名以下の取締役報酬委員で構成し、その過半数を独立性を有する社外取締役としています。委員長も、原則として社外取締役の委員の中から委員会の決議をもって選定されます。報酬委員会での決議又は審議内容については、報酬委員会に選定された報酬委員が適宜・適切に取締役会に報告します。
5. 内部監査
当社における内部監査は、監査室が行っています。監査室は、監査委員会の了承を得た内部監査計画に基づき、当社のコンプライアンス、コントロールの各プロセスの妥当性や有効性を検証しています。内部監査の結果は監査委員会及び代表執行役社長に対して報告しています。また、監査室は取締役会へ直接の内部監査結果の報告を行っておりませんが、監査委員から取締役会に対して適宜報告を行っています。
監査室は、監査委員会と定期的に会合を持ち、監査体制や監査の実施状況等に関して報告や意見交換を行い相互に連携を図っています。また、内部統制やリスクマネジメントを担当する部門と定期的に意見交換の場を持ち、連携を図っています。会計監査人とは、定期的な三様監査の会議を通じた連携のほか、必要に応じて意見交換を行っています。

6. コーポレートガバナンス・コードへの対応状況
(株)東京証券取引所の「コーポレートガバナンス・コード」に記載された各項目の実施状況につきましては、コーポレート・ガバナンスに関する報告書をご参照ください。
7. 社外取締役の独立性に関する基準
当社は、以下のとおり、社外取締役の独立性に関する基準を定めています。
(1)当該社外取締役の2親等以内の近親者が、現在又は過去3年において、当社又は当社子会社の取締役、執行役又は監査役として在職していないこと
(2)当該社外取締役が、現在、業務執行取締役、執行役又は従業員として在職している会社が、製品や役務の提供の対価として当社又は当社の子会社から支払いを受け、又は当社又は当社の子会社に対して支払いを行っている場合に、その取引金額が、過去3事業年度のうちいずれかの1事業年度当たり、いずれかの会社の連結売上高の2%を超えていないこと
(3)当該社外取締役が、過去3事業年度のうちいずれかの1事業年度当たり、法律、会計若しくは税務の専門家又はコンサルタントとして(当該財産を得ている者が法人、組合等の団体である場合は、当該団体に所属する者をいう。)、当社から2,500万円を超える報酬(当社取締役としての報酬を除く)を受けていないこと
(4)当該社外取締役が、業務を執行する役員を務めている団体に対する当社からの寄付金、融資、債務保証のいずれかの1つでも、過去3事業年度のうちいずれかの1事業年度当たり、1,000万円を超えていないこと
(5)当該社外取締役が、当社又は当社子会社大株主(総議決権の10%以上の株式を保有する者)又はその業務執行者若しくは常勤監査役として在職していないこと
(6)当該社外取締役の兼任先と当社又は当社子会社との間で、取締役、執行役又は執行役員を相互に派遣していないこと
(7)その他重要な利害関係がコクヨグループとの間に存在しないこと
8. 取締役会の実効性評価
取締役会の現状に対する課題認識と今後のあるべき姿を明らかにすべく、2011年より定期的に取締役会の実効性について、把握、分析、検証を行っています。2024年度の評価プロセス、評価結果の概要は以下のとおりです。本結果を踏まえて、今後も取締役会の実効性向上へ取り組んでいきます。
【評価プロセス】
1.第三者による実効性評価インタビュー
対象者:取締役全員
時期:2024年10月~11月
聞き手:第三者
インタビュー項目:①経営戦略に対する監督について②経営陣に対する監督について③ステークホルダーとの対話・開示について
2.アンケート
対象者:取締役全員
時期:2025年1月
アンケート項目:取締役会の運営、事務局による情報提供、支援体制について三段階の評価及び自由コメント欄
3.取締役会レビューミーティング
対象者:非業務執行取締役
時期:毎月取締役会終了直後
内容:当日の取締役会での議論について
4.半期ごとに取締役会での議論と総括
対象者:取締役全員
内容:2024年度取締役会重点テーマの進捗/取締役会の実効性について
時期:2024年10月、2025年2月
【2024年度における全体評価結果の概要】
2024年度の取締役会の実効性について、概ね確保できているものと評価されました。取締役会における活発な議論が行われたことで、「長期ビジョンCCC2030」に基づく戦略・計画・実行の一貫性が強化されました。また、執行側と監督側とのビジョン実現に向けた協働や経営陣に対する監督のあり方が明確となりました。
一方で、長期ビジョンの実効性をさらに向上させるためには、引き続き中長期視点での主要テーマである成長戦略、人材の活用・育成及びリスク管理の強化に関して、今後も議論を深めていくことが重要であると認識されました。
9. 取締役および執行役の報酬等の決定に関する方針
コクヨの役員報酬制度は、株主をはじめとしてステークホルダーに説明責任を果たすことができる透明性・合理性・簡潔性があり、短期的な成果のみならず中長期的な企業価値向上も担保するような設計としています。当社の役員の報酬の決定方針及び個人別の報酬等の内容は、報酬委員会において、以下のとおり決定しています。
【基本方針】
1)経営のサステナビリティの観点から、必要な人材の獲得・引留めが可能な仕組みであること。
2)株主をはじめとしたステークホルダーに説明責任が果たせる透明性・合理性・簡潔性があること。
3)各役員の役割、職責に応じて、市場水準の報酬であること。
【取締役及び執行役の個別の報酬等の額又は算定方法の決定方針】
1)執行役(取締役を兼務するものを含む。)の報酬
ⅰ.報酬額の設定方法
執行役の報酬は、業務執行に対する対価として設定の上、以下の3種類の報酬で構成しています。
・ 基本報酬 :毎月固定額の金銭報酬
・ 短期インセンティブ報酬 :単年度の業績や成果に応じ、財務指標・非財務指標の評価に基づいて支給
・ 長期インセンティブ報酬 :株主との価値共有、中長期の企業価値・株主価値の持続的な向上を図る動機付けを目的に、譲渡制限付株式を支給
加えて、執行役の役割の大きさに応じて、5つの報酬等級を設定し、等級ごとに3つの報酬グレードを設けています。さらに報酬グレードごとに、基本報酬、短期インセンティブ報酬及び長期インセンティブ報酬の基準額をそれぞれ設定しております。なお、基準額は外部専門機関の調査による、同格企業(同業種、同規模等のベンチマーク対象企業群)の執行役の基本報酬水準を参考に報酬委員会において検証・決議しています。
ⅱ.基本報酬、短期インセンティブ報酬及び長期インセンティブ報酬の支給割合の決定に関する方針
等級が上位になるほど変動比率を引き上げております。標準時の基本報酬、短期インセンティブ報酬及び長期インセンティブ報酬については以下の支給割合で設定しています。

ⅲ.短期インセンティブ報酬及び長期インセンティブ報酬の内容及び額又は数の算定方法の決定方針
(a)短期インセンティブ報酬
1.短期インセンティブ報酬は全社指標及び事業財務指標及び非財務指標によって決定しています。

2.単年度の財務指標や非財務的な指標の具体的な項目、指標に係る支給率及び非財務指標に係る支給率の算定方法並びに報酬等級ごとの指標のウエイトは、報酬委員会において検証し、決定しています。
3.業績評価の対象期間は、会計期間と同様の1月から12月までの1年間としています。
(b)長期インセンティブ報酬
報酬グレードごとに設定される長期インセンティブ報酬の額について、譲渡制限付株式を付与しています。
2)取締役の報酬
ⅰ.報酬額の設定方法
取締役の報酬は、重要な意思決定及び職務執行の監督に対する対価及び常勤、非常勤、委員会への参加の状況等を踏まえ、以下の報酬で構成しています。
・基本報酬/委員等報酬 :毎月固定額の金銭報酬
・株式報酬 :株主価値の向上に対する意識を従来以上に高めることを目的に、譲渡制限付株式で付与(総報酬の10%以下程度)
ⅱ.報酬額の決定方針
取締役の基本報酬及び委員等報酬の額については、外部専門機関の調査による、同格企業(同業種、同規模等のベンチマーク対象企業群)の取締役の基本報酬水準を参考に報酬委員会において検証・決議しています。
【譲渡制限付株式】
本株式の発行又は処分に当たっては、会社と対象者個人との間で、譲渡制限付株式割当契約を締結しています。
1)付与方法
取締役会決議を経て、対象者に対して会社の普通株式を用いた譲渡制限付株式(以下「本株式」といいます。)を付与します。1株当たりの払込金額は、当該取締役会決議日の前営業日の東京証券取引所における会社の普通株式の終値(同日に取引が成立していない場合は、それに先立つ直近取引日の終値)を基礎として、本株式を引き受ける対象者に特に有利な金額とならない範囲で取締役会において決定する金額としています。
2)算定方法
本株式の付与数は、社外取締役は固定額、社内非業務執行取締役及び執行役については報酬等級ごとに設定される株式報酬の基準額、執行役については報酬グレードごとに設定される長期インセンティブ報酬の基準額を基礎として算定しています。
【報酬等の支給時期又は条件の決定方針】
1)取締役・執行役へ支給する報酬のうち、現金で支給するものは、総額を12分割し、毎月支払っています。
2)前項の規定にかかわらず、取締役・執行役の短期インセンティブ報酬は、毎年4月に支払っています。
3)取締役・執行役の株式報酬及び長期インセンティブ報酬については、毎年原則として4月に支払っています。
10. 役員報酬額
2024年度の役員報酬等の総額役員区分 | 報酬等の総額 (百万円) |
報酬等の種類別の総額(百万円) | 対象となる役員の員数(名) | |||
---|---|---|---|---|---|---|
金銭報酬 | 非金銭報酬 | |||||
基本報酬 (金銭報酬) |
短期インセンティブ報酬 (業績連動報酬等) |
長期インセンティブ報酬 (非金銭報酬等) |
株式報酬 | |||
取締役(社外取締役を除く) | 46 | 43 | - | - | 2 | 2 |
監査役(社外監査役を除く) | 9 | 9 | - | - | - | 1 |
執行役 | 142 | 61 | 64 | 17 | - | 2 |
社外取締役 | 80 | 75 | - | - | 5 | 6 |
社外監査役 | 7 | 7 | - | - | - | 2 |
11. 政策保有株式に関する方針
当社は、持続的な企業価値向上を図るため、安定的な取引関係の維持・強化により当社の事業発展に資すると判断する企業の株式を政策的に保有していますが、保有の合理性が認められる場合を除き、原則として政策保有株式を保有せず計画的に縮減していくことを基本方針としています。このため、保有の合理性が認められないと判断する政策保有株式については、保有先企業の十分な理解を得た上で売却を進めていきます。
政策保有株式の議決権については、投資先企業の中長期的な企業価値向上及び株主価値向上の観点から、その行使について議案ごとに精査し当社の賛否について判断を行います。
12. 役員一覧
13. スキルマトリックス
氏名 | 知見・経験 | ||||||||
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企業経営 | 戦略 | グローバルビジネス | DX・IT | ESG | リスク管理 | 財務・会計 | 法務 | ||
上釜 健宏 | ● | ● | ● | ||||||
大森 紳一郎 | ● | ● | ● | ||||||
杉江 陸 | ● | ● | ● | ||||||
東葭 葉子 | ● | ● | ● | ||||||
橋本 副孝 | ● | ● | ● | ||||||
五味 祐子 | ● | ● | ● | ||||||
東條 克昭 | ● | ● | ● | ||||||
黒田 英邦 | ● | ● | ● | ||||||
内藤 俊夫 | ● | ● |