学校のみんなにも理解してもらえるように、劇でノートの回収を呼びかける
取材日 2023.10.25
今回、伺った学校はこちら
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守山市立速野小学校
設立: 1970年7月1日
児童数:737名
都道府県:滋賀県守山市
特徴:落ち着いた校風のもと、「自愛」「友愛」「学校愛」を合言葉に日々の教育を実践している
今回の記事のポイント
- 4年生の子どもたちが、つなげるーぱ!の授業で「自分ごと」として環境問題とリサイクルについて学び、今度は全校児童に向けて伝える側へ
- 4年生は全校集会で低学年のみんなにも理解してもらえるよう、劇やパフォーマンス、スライドを投影しながら「リサイクルとは何か」「つなげるーぱ!とは何か」を発信
- 「教える側」としての準備とこだわりの積み重ねにより、子どもたちのSDGs全体への興味が広がる。
活動紹介
滋賀県・守山市。琵琶湖にも近く、広い空とあわせて自然の豊かさを感じられる場所でもありながら、湖の周辺では大規模な住宅団地やリゾートマンションの建設、商業施設の増加等も進み、変貌の激しい地域になっています。今回伺った速野小学校は、それゆえ転入する児童も多く、多様なご家庭とそのお子さんたちが集う学校です。速野小学校が掲げる学校教育目標は、「愛³(愛の3乗)=自愛・友愛・学校愛」で、「自分が好き 友だちが好き 学校が好き」と言える子どもたちを育てることを目指しています。
環境学習は、知識だけで終わらせるものではない
速野小学校では、「環境学習は知識だけで終わらせるものではない」という考えのもと、4年生は「総合的な学習」の枠組みの中で、守山市のごみ処理施設「守山市環境センター」の隣に新しくできた「もりやまエコパーク交流拠点施設」に行き、体験をもって環境問題について学ぶプログラムを実施しています。今回「つなげるーぱ!」に参加してくださったのも、同施設で守山市と教育委員会より環境学習の一環としてのプログラム紹介を受けたことがきっかけだったそうです。
同施設における守山市の担当者は、「学校の先生方が環境学習に使える時間には限界がある」という前提のもと、この分野のプロフェッショナルである地域企業や環境施設が連携することで、「もっと学びたい」という子どもたちや学校の想いを実現するために連携しているとのことでした。
全校集会で4年生の学びを他の学年のみんなに教える
「もりやまエコパーク交流拠点施設」でのプログラムの中で実施されたコクヨからの講義を受けて、児童たちは独自でリサイクルに関する学びを深め、学校内の使い終わったノートをリサイクルするために、回収をする準備を始めていました。
今回私たちが伺ったのは、4年生の中で周知を呼びかける担当となった子どもたちが「リサイクルとは何か」「つなげるーぱ!とは何か」について説明し、ノートの回収を全校児童に呼びかけるという全校集会の場でした。全校児童が集まる中、みんなの掛け声から始まり、4年生が体育館の中心に駆け寄ります。
それぞれがデザインした回収ボックスを上に掲げ、舞台の上ではコクヨ役・児童役に分かれて劇やパフォーマンスを披露します。普段の「ノートを捨ててしまう」という行動を変えることで、地球にどんな良い変化が起こせるのかを、楽しくわかりやすい劇にして伝えていました。
さらにその後ろには、資源の使い過ぎによって引き起こされているさまざまな課題や問題を、わかりやすく説明されたスライドも投影され、これらは自分達の行動から変化することができるのだと想いをこめ、自分たちの学びを全校児童にも伝えていきます。「速野小でつなげるーぱ!を広げよう」の掛け声のもと、全校生徒を巻き込みながら、ここからはじまります。
インタビュー
答えてくれた人
答えてくれた人
速野小学校 4年生学年主任
改田 昌英 先生
速野小学校 4年生
前田 桜汰さん・川島 琉翔さん・加藤 由菜さん・麻中 誉さん
つなげるーぱ!に取り組み始めて、何か変化はありましたか?
改田先生:今の4年生は、1学期に、環境学習の一環で「もりやまエコパーク交流拠点施設」を見学したり、森林学習をしたりして、自然は身近なものだということを学んでいます。そこで、森林は自然災害や土砂災害を食い止め、私たちの暮らしを守る存在なのだということを知りました。こういったこれまでの環境学習では自分たちにできることは「家庭の中で分別をする」というところで終わっていたのですが、「つなげるーぱ!」を知り、身近なノートのリサイクルが地球を守る事につながると知ったことで、みんなで取り組むようになりました。
それから、環境・リサイクルに関する問題は「家庭の問題」から「自分たちの問題」へ、より身近なものに変わっていったと思います。子どもたちが「自分たちの問題」として主体的に取り組み活動できたことはとても良かったです。こういう取り組みが広がっていくことで、子どもたちが大人になったときもそうですし、他の学校や地域の方々にも「環境」について考えるきっかけを生み、身近に捉える人たちが増えたら良いなと思います。
全校集会で子どもたちがノートの回収を呼びかけるにあたって、「発表する」ということは決まっていたものの、その発表方法や回収ボックスのデザイン、そして周知させるために独自のゆるキャラを開発したりということは、全て子どもたちが決めていきました。自分の問題だと捉えられているからこそ、より主体的に考えて工夫を凝らし、自分たち自身で変えていくのだという行動につながったのだと思います。
つなげるーぱ!を知る前は、「リサイクル」を気にしていましたか?
川島さん:環境学習に参加するまでは、ゴミを捨てたら勝手にリサイクルされるものだと思っていました。
前田さん:今回の取り組みの以前から、使い終わった箱とかを自分の部屋の収納にしたり、できるだけ小さくしたりとかはしていました。でも「ノート」は使い終わったら捨てるものだってずっと思っていたので、「つなげるーぱ!」を知って、使い終わったノートを回収してリサイクルしたらまた新しいノートができるんだと驚きました。
麻中さん:勉強したときのノートは振り返りのために一応置いてあるけれど、振り返りをしないような自由帳とかはどんどん捨てていました。
加藤さん:わたしも、自由帳とかは捨てちゃってました。
「劇」でノートの回収を呼びかける新しい試みをやってみてどうでしたか?
川島さん:最初にコクヨの人がきて「つなげるーぱ!」を教えてもらって、そのあとにノートの回収を呼びかけるためにどうするといいかをみんなで話し合いました。劇をしたいと決めたあと、劇の内容の大枠は先生が決めてくれて、そこから自分たちが何の役でどう伝えていくのかを決めていき、アレンジ自体は自分たちで決めたんです。
前田さん:ステージに立ってコクヨの「つなげるーぱ!」についてのお知らせをしていくときに、それぞれの内容を覚えることや、練習で大きな動きをすること、舞台の上での移動が難しかったです。でも楽しかった!
加藤さん:大きな声を出して、低学年のみんなにわかってもらえるようにするのが大変でした。でも、やってみてすごい楽しかったし、自分の表現したいことをみんなに見せられたのが嬉しかったです。自分たちでチームでやってみたり、みんなが興味のあることをやっていって、リサイクルについてこれまでは先生から教えてもらっていたことだったけど、自分たちが教える側になれたのがすごく良かったです。
麻中さん:「リサイクル」や「つなげるーぱ!」についてのスライドも自分たちでつくりました。舞台の上のスクリーンに映していたものは、各クラスでまず1つずつつくり、最終的に1つ選ばれたものを学校のみんなに向けて投影しました。
今後どうやって回収したり、どう伝えたりしていきますか?
麻中さん:校内放送とか、動画を撮ったり、回収ボックスをつくったりして広めていきます。今回は全校集会で広める担当がみんなに伝えたので、ここからは回収ボックス担当がその回収を進めていきます。
加藤さん:「つなげるーぱ!」を知らなかったとき、ノートは使い捨てにしていたけれど、これを機会に地球を良くするために「つなげるーぱ!」にもっとみんなに参加してほしいと思いました。ノートを使い終わったら、みんなに回収してほしいし、地球が守られるようにしてほしいです。
川島さん:今年は夏が暑すぎて、地球温暖化が進んでいるなと感じました。学校だけじゃなくて、他の地域の人たちも含めてもっと広めていくことで、それを少しでも食い止められたらと思いました。
前田さん:今回はリサイクルの話だけれど、SDGsとかフードロスとか、これからもっといろんなことを勉強していきたいです。
執筆:田中 美咲
編集:中西 須瑞化
撮影:丸山 晴生