
コクヨには、できるだけ多くの人にとって使いやすい製品を目指して開発された、
たくさんのユニバーサルデザイン製品があります。
- エアロフィット誕生秘話
- ユーザー目線で選んだでテーマは、
空気でした。
- 一見、ごく普通のハサミなのです。だけど、これこそコクヨのユニバーサルデザインハサミとして第四弾となる新製品。花川陽一さんたちスタッフは、全身全霊を打ち込んで開発に挑みました。テーマは、ずばり「空気」です。

- これまでコクヨのユニバーサルデザインのハサミって、いくつかありましたよね。片側のハンドルがオープン型になっていて握りやすいのとか、スプリングが入ってて刃を戻すときに力が要らないのとか。それに比べると、このハサミ『AIROFIT(エアロフィット)』は、ぱっと見、普通に見えるんですけど。
- そうですね。でもこの商品は、コクヨのユニバーサルデザインのハサミとして、新しいスタンダードを目指した商品なんですよ。

- ほう。
-
開発に当たって、まずは詳細なユーザー調査をしてみました。あなたはハサミのどこに不便を感じますか、という質問に対する最も多い答えが「指が痛くなる」というもの。その次に多いのは「糊が刃先につきやすくてベタベタする」というものでした。
また、ハサミの購入ポイントは何ですか、と聞いてみますと、「切れ味」「値段があまり高くないこと」「指が痛くならないこと」という声が多くあがりました。つまり、お客さんは、当たり前のことを当たり前にできる、ごく普通のハサミを望んでらっしゃるんですね。

- 変わった形のものよりも、オーソドックスなハサミ。
- そうなんです。価格的にも高くなくて、バランスの取れた商品ですね。ですから、徹底してユーザー目線で開発して行こうと。その中で試行錯誤していくうちにテーマとなったのが「空気」でした。
- 空気、ですか?
- 例えば、このハンドルの部分がそうです。内側の指に当たる部分はエラストマーなんですが、この材質とデザインで、まるで空気のようにタッチが柔らかで、指が痛くなりません。

- あ、ホントに柔らかい。
- ね? でも、これには苦労しました。最初は、こんな風に、ハンドルにプニョプニョしたやわらかいエラストマーを貼り付けようとしたんですが、そのようなタイプのABS樹脂とエラストマーって、うまくくっつかないんです。

- 確かに、試作品を見ると、今にもエラストマーがはがれちゃいそうです。
-
ではというので、くっつきやすい硬めのエラストマーで作ってみたんですが、それでは思ったほど柔らかい感触が得られないんですね。「意外と硬いやん」て声が上がって。
そこで今度はエラストマー自身に穴を開けて、空気のようなタッチを目指すことにしました。ですが、どこまで穴を開けたら見栄えも良くて効果も高いのか、これを知るには実際に作ってみるしかありません。いっぱい作って試してみました。ちょっと作り過ぎたくらいかもしれません(笑)。
- でも新しいハサミのためです。