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- 中国で販売しているキャンパスノート
コクヨのアジア進出は、1995年香港に海外駐在員事務所を開設したことから始まります。当時は、成長著しい中国市場を中心に、アジア全域の情報収集、分析活動が主な活動でした。一方、円高対策として、アジア地区での製造、販売計画もこの頃スタート。96年タイに合弁企業を、翌97年にはマレーシアに現地法人を設立し、それぞれステーショナリーとファニチャーを生産する工場を建設しました。その後、アジアでの活動を本格化させるため、2002年香港にコクヨインターナショナル(KIA)を、翌年には上海に国誉貿易(上海)有限公司を設立し、まず現地日系企業をターゲットに、国内で長年培ってきたオフィス構築事業、ワンストップサービス(注1)の提供を始めました。
現在、コクヨグループは「ステーショナリー関連事業」、「ファニチャー関連事業」、および「通販・小売関連事業」の3事業を柱とした事業機軸経営を実践していますが、各事業会社は、成長し続けるアジア市場においても、人々の仕事や生活をより豊かに、よりクリエイティブにする商品の提供をめざして、中国、ベトナム、インドで本格的な活動を開始しています。
まず、中国ではコクヨファニチャー管轄の国誉家具商貿(上海)有限公司が2011年、中国浙江省のスチール家具工場、平湖台麗弁公自動化設備有限公司(Tailik社)に出資し、合弁会社化することによって、現地向け商品の開発、生産能力を強化、中国におけるオフィス家具の内需獲得に向けて、バリューチェーン(注2)整備を進めています。一方、ステーショナリー事業では、コクヨS&T管轄の国誉商業(上海)有限公司が、2005年から通販事業Easy Buyをスタートさせており、この活動を通して、中国のお客様のニーズを分析、2009年からは卸事業でのテストマーケティングや、様々なブランディング活動を展開しています。そして現在、今夏(2012年)稼働をめざして、上海市奉賢区にノート工場を建設中で、これによって、開発から生産、流通、販売までの一貫した体制が構築される予定です。このほか昨年、中国No.1のノートメーカー、何如文化用品(深?)有限公司の事業承継に合意、2020年にステーショナリー事業で年間売上100億円を達成することを目標にしています。
ベトナムでは、2005年のコクヨベトナム株式会社設立以降、独自の生産体制を構築してきましたが、より自由な営業、販売体制を確立するために、日本の文具メーカーとしては初の国内販売ライセンスを取得、昨年販社としてコクヨベトナムトレーディング株式会社(KOKUYO VIETNAM TRADING Co.,Ltd.)を設立しました。同様に成長著しいインドでは2011年、老舗ステーショナリーメーカーで国内に強力な流通販売網をもつカムリン社の株式を取得してコクヨカムリン社が発足、一気にインド全域をカバーできる体制が整いつつあります。このようにコクヨは、その国の市場の特性に合わせた開発、生産、流通、販売体制を構築し、それぞれが相互作用によってアジア圏全域の発展に寄与できる真の「アジア企業」、「アジアの誉れ」になることをめざし、グループ一丸となって挑戦し続けています。
- ベトナムではさまざまな意匠ノートを販売。ドラえもんが表紙のキャンパスノートは大学生に大人気だという。
- インドではKOKUYOロゴで展開
- (注1)オフィスの新築・移転・改装の際、プラニングから家具選定、設置、内装・設備工事、引っ越しまでのすべてを、一括して引き受けるサービス。
(注2)生産資材調達から、製品やサービスが顧客に届き、消費されるまでの企業活動を、一連の価値(Value)の連鎖(Chain)ととらえる考え方。ハーバード・ビジネススクールのマイケル・E・ポーター(Michael E. Porter)が、著書『競争優位の戦略 Competitive Advantage: Creating and Sustaining Superior Performance』(1985年)の中で用いた言葉。製品、サービス、あるいは事業を、顧客にとっての価値を創造する活動ととらえているところがポイント。