70年代の日本は、二度にわたる石油ショックによって、戦後初のマイナス成長を経験するなど、経済状況が混乱しますが、コクヨは大胆な組織改編に取り組むなどして、危機を最小限に押さえます。その甲斐あって、順調に業績を伸ばし、1979年には念願の売上高1000億円を達成しました。
同年、かねてより関東圏の拠点として社員から強く待望されていた東京新社屋が竣工、その2年後には同じ敷地内に、業容拡大を見越して、業界で最大規模のショールームが完成しました。この時期のトピックのひとつは、家具事業分野における顧客層を広げるための商品開発に積極的に取り組んだこと。店舗什器などの施設用品、病院、学校、図書館用の家具、美術館用の展示ケース、あるいは移動観覧席などの特殊家具も、この頃開発が始まったものでした。また、80年代半ば、政府の内需拡大政策の一環として通産省(現経済産業省)が提唱した「ニューオフィス推進運動」は、オフィス環境見直しを促すもので、コクヨにとっては強力な追い風となり、1988年には売上高2000億円を突破しました。