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- 「オフィス全館ショールーム」
- 「ライブショールーム」(1969年)。営業本部のフロア。黒デスク、赤チェアーは闘争心を駆り立てるねらい
1969年11月11日にオープンしたコクヨ新本社ビルは、業界で大きな反響を呼びました。それは、全館を「生きたショールーム」として一般に公開したからです。従来、ショールームといえば、単に商品を紹介・展示する空間でしたが、この新本社ビルは、事務用品から家具・什器まで、ほとんどを自社製品で構成、社員が実際にそこで働く姿を見てもらおうという画期的な試みでした。その、コクヨのありのままを見せるという姿勢は、オープン前の告知広告中の「お望みなら、デスクの中までお見せします」というコピーに、象徴的に表現されています。今では、こうしたいわゆる「ライブショールーム」は目新しいものではありませんが、当時としてはわが国ではもちろん、世界でも例を見ない先進的なオフィスビルでした。
さらに、この新本社ビルには、もうひとつのねらいがありました。それは、全社員が自らの体験を通して、自社製品の機能性、耐久性、意匠性を厳しく吟味するとともに、来館されるお客様の生の声を聞きながら、製品の改良、開発へ結びつけていくという「実験ビル」としての役割でした。実際、社内ではこの本社ビルは、単なるオフィスビルではなく、当時の今里、深江、八尾の各工場に次ぐ「第四の工場」と位置づけられていました。この斬新な試みは、予想以上の好評を博し、オープン後1年間に訪れた見学者は約1万5千人、オフィス総合メーカーとしてのコクヨを強くアピールすることになりました。
- 完成間もない本社ビル(大阪東成区/昭和44年)
- 本社ビルオープンの広告
- コクヨでは、1969年にオープンしたこの新本社ビル以来、オフィスに関する先進的プロジェクトを一貫して推進してきました。1979年にはライブオフィスとショールーム機能を併せ持つ東京新社屋を完成させ、隣地の東京ショールームオープン時(1982年)には、当時の最先端技術であった光通信システムをいち早く導入しています。また、オフィス空間だけでなく、働き方の研究、開発、提案を進化させるため、1986年にはオフィス研究所を設立、さらに2008年にはエコとクリエイティブをテーマにした実験的オフィス「エコライブオフィス」をオープンさせるなど、常に時代に先駆けたオフィス空間とワークスタイルを提案し続けています。