1954年に創業50周年を祝う頃には、コクヨは戦前の最盛期をはるかに超える、紙製品業界のトップ企業になっていました。この時期、生産体制の復興、確立と同時に、コクヨは流通、販売網の整備、強化にも力を注ぎます。
すでに、終戦から2年後には、東京支社を設立していましたが、その後、全国各地に次々と支店を開設、販売ネットワークを広げていきました。こうした販売拠点作りは、コクヨの全額出資によるものだけでなく、地元の有力卸業者との共同出資という形態もありました。さらにユニークだったのは、コクヨの製品だけを扱う専門店の出現でした。これは当時業界で大きな話題となりましたが、その成功が明らかになると、各地で同じような動きが現れ、1957年には全国に20社のコクヨ専門店が誕生していました。
この時期のもうひとつの画期的な出来事は、紙製品メーカーとして成長してきたコクヨが、スチール製品業界へ参入したことです。1960年に初のスチール製品、ファイリングキャビネットを発売すると、65年にはスチールデスク、翌年にはホームキャビネット、事務用回転椅子などを、次々と発表していきます。