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かつて、のり付け作業は、はみ出したりむらができてきれいに塗れない、乾くのが遅い、ふたをし忘れると乾いてしまう、手が汚れる、といった難点がありました。ただ、ほかに選択肢がなければ、それらは不都合ではなく、作業につきものの当然のことと受け入れられがちです。コクヨでは、たとえ不都合はなくとも、どうすればより快適で効率的な商品になるか、常に調査、研究しています。1970年、ドイツのヘンケル社から輸入販売し、3年後には国内でライセンス自社生産を始めたスティックのりPrittは、のり付け作業の不都合を著しく解消した商品の代表格でした。その後登場するテープのりは、このスティックのりの欠点(ふたをし忘れると乾いてしまう、最後まできれいに使い切れない)を、さらに改善させた商品でした。
テープのりは、2000年頃から業界各社から発売され、市場には同様の製品が多数出回っていました。それらは、コクヨの製品も含め、ほとんど仕様が同じで、言い方を変えれば欠点も同じ。それは、のりの切れが悪く、紙から離すときに糸引きして、仕上がりが汚くなってしまうということでした。
そこでコクヨでは、この不具合を改善することができれば、お客様にとってさらに使い勝手の良い、より完成度の高い商品になると考えました。こうして、2002年開発プロジェクトがスタート、3年の歳月をかけて試行錯誤を繰り返し、生まれたのがドットライナーでした。その発想の原点は、「のりの切れが良くないなら、最初から切れた粘着面を作ればいい」というアイデア。そこから、のりをドット(点)状にパターン化して配置するという原案が生まれましたが、その形や大きさ、のりの粘着力など、すべてをバランスよく設計するのに多くの時間が必要でした。しかし、その苦労のかいあって、2005年6月の発売からわずか8ヶ月で100万個を販売するヒット商品に。ドットライナーは、その後、改良を重ねつつ様々な派生商品を生み、現在10品目、31品番を擁する人気商品ファミリーに成長しています。