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- 「スチール製品の自社生産工場」
- 八尾工場のビーロマティークにヒントを得てロール鋼板から自動でスチールデスクをつくる機械を設計・開発した
1960年、ファイリングキャビネットでスチール家具分野に進出すると、順調に需要が伸び、65年からはデスク、ロッカー、チェアを順次発売、スチール製品がコクヨの次代の大きな柱になることは火を見るよりも明らかでした。当初、これらのスチール製品は、協力工場で生産された製品にコクヨの商標を付けたものでした。市場拡大が確実なものになってくると、スチール製品の自社技術を高めるためにも、品質管理の面でも、自社生産はますます不可欠になってきました。スチール製品の自社工場建設構想自体は、67年頃からありましたが69年、ついに柏原工場建設委員会を設置、スチール家具の中心的製品であるデスクの生産工場新設が決定されます。ポイントとなったのは、この分野での後発の立場を逆転するために、高い品質を維持しつつ、コストを徹底的に下げることでした。そこで、当時国内ではどこも実現していない自動化ラインを目標に。それも、外部から技術者や熟練工を招くのではなく、あくまで自社の技術陣スタッフで開発するという、当時としてはかなりハードルの高い挑戦でした。
- 柏原工場落成式(1971年)
紙製品では、ビーロマティーク導入をきっかけに自動生産ラインを実現した実績がありましたが、必要とされる技術もノウハウも違いますし、生産工程もはるかに多く、自動化もおのずとより難しいものとなります。コクヨの技術陣は、紙製品で築き上げてきた生産技術を参考にしながら設備設計を自社で行い、それに基づいて16社におよぶ設備機器メーカーの技術者と恊働しながら計画の全容がほぼ確定した70年5月に着工、翌71年3月に竣工、6月に全ライン稼働となりました。
- 柏原工場で生産したスチールデスク
スチール製品の生産については素人同然だったコクヨが、ほとんど自社で生産設備を設計したこと、ロール鋼板からスチールデスクを製作するという画期的な自動生産ライン(注1)は、各界から大いに注目を集めました。その後、柏原工場はコクヨのスチール家具主力工場としてコクヨの発展に寄与、91年9月には、スチールデスク1000万台の累計生産を記録しました(注2)。
コクヨの技術陣が自ら設計した生産ラインは、ロール紙ならぬ、ロール鋼板からスタート。切断された一枚一枚の鋼板を各製品に合わせて自動で折り曲げ、穴開けを行う。補強材等を溶接した後、電着塗装(水生塗料の液の中に商品を入れ、電着作用によって表面に塗装膜をつくる塗装技術)、梱包に進む。すべての工程を自動化したのは業界初の試みであり、業界での優位性を高めていくきっかけとなった。
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- ロール鋼板
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- 袖加工
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- 溶接
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- 天板加工
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- 電着塗装
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- 引出し自動組立
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- 袖自動梱包
- (注2)94年その使命を終え、三重工場へ発展的に統合され、2010年まで柏原配送センターとして利用されました。