- コクヨ首都圏IDC(Integrated Distribution Center)2004年1月竣工。商品の出荷頻度に合わせて最適のピッキングスタイルを採用し、かつ最短のルートを通るようコンピューターで自動制御される
コクヨの成長を支えたもののひとつは、「物流力」です。物流には、梱包、荷役、保管、輸送、情報といった機能がありますが、コクヨでは、それぞれの機能を積極的に革新・合理化することによってコスト削減に努め、お客様のメリットを追求してきました。たとえば、1936年に完成した旧本社・今里工場は、それまで板の間で履物を脱いで上がっていた作業場をすべて同一平面のコンクリート床にしてハンドリフトを導入し、人力に頼っていた荷役の作業を著しく軽減しました。さらに1953年には、当時まだ市場に出回っておらず、高価だったフォークリフト(注1)をいち早く購入し、さらなる合理化を図りました。また同じ頃、それまで木箱だった梱包を段ボール箱に切り替えています。当時業界では、各社が自前で木箱を作って梱包、輸送するのが一般的でしたが、それは重くかさばり、積載効率の悪いものでした。コクヨは他社に先駆けて段ボールを採用し、3割近くも効率をアップさせました。
さらに、スチール家具を販売するようになった1960年以降は、物流体制の強化、拡張が喫緊の課題となり、全国の大都市、あるいは生産拠点の近くに、急ピッチで倉庫建設が進められました。1970年代半ばには、製品も販売店も、ともに膨大な数にのぼり(注2)、複雑化する物流を合理化するために物流本部を設置、「生産即配送、配送即販売」をめざして、商品の管理・保全・輸送を一本化しました。こうした体制の整備によって、全国同一納期という、当時としては前例のない、独自の物流サービスを実現したのです。また、コクヨはどこよりも早く、物流の情報化にも着手しています。1970年、当時最新鋭のコンピュータ(注3)導入によって、受注、出荷システムを稼働させたのを皮切りに、常に時代に先駆けた物流情報システム(注4)を構築してきました。
- 1974年、KOPSの稼働により、生産から流通まで、一層の合理化が進んだ
- (注1)国産初のフォークリフトを製作した東洋運搬機製造株式会社、現在のTCM株式会社からその第一号機を購入。
(注2)製品は、紙製品、文具、家具、事務機器および用品の4部門で、およそ5000点に達し、コクヨ製品を取り扱う販売店は、
全国で5万店にものぼっていました。
(注3)富士通の名機として有名なメインフレーム「FACOM230-25」
(注4)1974年KOPS(総括店販売在庫管理システム)稼働、76年KOINS(総括店との共同保管、共同配送情報システム)稼働、83年KAPS(代理店受発注オンラインシステム)稼働、86年KROS(販売店受発注オンラインシステム)稼働、95年KOLUS(受発注・在庫/納期管理システム)稼働