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- 「チューブファイル〈エコ〉」
紙製品メーカーの社会的責任として、コクヨは早くから再生紙の使用などでエコに取り組んできましたが、1990年代に入って、環境問題に対する社会的関心がさらに高まってくると、いち早く独自の環境設計基準に基づいた製品アセスメントを全事業部で実施、環境対応商品の開発を積極的に進めます。93年には、その姿勢を内外に表明するために「コクヨ環境行動憲章」を制定。「チューブファイル〈エコ〉」は、同憲章制定後初の製品でした。開発に際して設定された課題は、古紙を使用することと、綴じ具に使用されている金具が分別廃棄できるよう簡単に取り外せること。ところが、これらすべてを実現するためには、生産方法から変える必要があり、さらに従来の常識を覆す「綴じ具が外れる」という仕様に、社内でははじめ反対の声が上がりました。当時はまだ分別収集について明確な規定を設けていない自治体があったことも、反対の理由になりました。これに対して担当開発部門は、分別廃棄、リサイクルが当然の時代が早晩来ることは明らかだとして(注1)、環境に配慮した商品を業界に先駆けて実現することの重要性を説いて開発をスタート、試行錯誤を繰り返しながら94年に完成、発売となりました。当初の課題は、表紙の心材に古紙100%を使用し、綴じ具の金具は、ハンマーでたたくと簡単に外れる仕様にしてクリアしました。
「チューブファイル〈エコ〉」は、その後も綴じ具を再利用できるようにしたり、表紙を交換できるようにするなど様々な改良が重ねられてきました。また、芯材に間伐材を利用したり、金具まで紙を使用した「オール紙」タイプを実現するなど、エコに取り組むコクヨの姿勢を象徴する製品として、大切な役割を担ってきました。たとえば、2009年にスタートした「カーボンフットプリントCFP制度試行事業」(注2)では、まずこの製品で参加、検証に合格し、コクヨ初のCFP宣言認定製品になりました。こうした環境対応商品への徹底した取り組みは、お客様から大きな支持を獲得し、「チューブファイル〈エコ〉」の市場シェアは著しく拡大、現在では、厚表紙ファイルの定番商品になっています。
- (注1)1991年の「再生資源の利用の促進に関する法律」以降、95年の容器包装リサイクル法(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)など、リサイクル関連法が次々と制定されたほか、2000年にはグリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律)が整備され、環境に配慮した製品のニーズは著しく高まりました。
- (注2)カーボンフットプリント/CFP(Carbon Footprint of Products)とは、商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスを、CO2相当量に換算して“見える化”し、商品やサービスに分かりやすく表示する仕組み。わが国では、経済産業省主導により2008年にガイドラインが取りまとめられ、関係省庁と連携して09?11年度まで試行事業が実施されました。本年4月からは、同事業を引き継いだ社団法人産業環境管理協会による新CFPプログラムの民間運用がスタートしています。