NEW GENERATION 賞

NEW GENERATION 賞 は、
コクヨデザインアワード2024の全応募作品の中から
学生の応募作品を対象とし、
商品化を前提とせず、
アイデアや着眼点に魅力がある作品を選定し、
次世代を担う若い世代の次なる挑戦を
後押しする目的で設定されました。

NEW GENERATION 賞

Candle Clock
作品名
Candle Clock
作者
Sakan Kiatboonsri

作者コメント

ライフスタイルが急激に変化する現代社会において、心地よい香りや、過去を思い起こさせるキャンドルは、リラックスやストレス緩和として人気がある。このキャンドルホルダーはゆとりを優先したデザインで、プリミティブとモダンを融合させる。可動性が特徴で、重力によって燃焼時間を示す。点火していないときには低い位置にあるキャンドルが、燃えるにつれて上昇する。ベースの支点近くにあるマーカーが経過時間を示し、窮屈なスケジュールから解放された自由なくつろぎを強調する。

評価コメント

ゆっくりとしたロウの変化や炎の揺らぎによる根源的な効果と、相反するが時計としての実用的な機能を上手く組み合わせたユニークな作品だと感じました。時間経過の捉え方に変化を与え、心理的な浄化作用まで想像する事が出来ます。ON/OFF切り替えのサポート役として、個人的にも活用してみたいと思いました。

Fifty-Six Kilometers
作品名
Fifty-Six Kilometers
作者
Joonyeol Bae

作者コメント

鉛筆の美しさは使ううちに徐々に短くなっていくところにあり、人の歩みの結果を象徴している。「Fifty-Six Kilometers」は、鉛筆には56キロメートルに相当する黒鉛が含まれていることから着想を得た鉛筆ホルダーで、通常の役割を超えてその本質を再定義する。費やした努力を視覚的に表現し、鉛筆を使う楽しさを再発見させてくれる。このホルダーは、これまでの歩みを示すだけでなく、鉛筆を手に未来へ向かっていくモチベーションを高めてくれる。

評価コメント

鉛筆一本分という親近感のある共有知を新たな表現で紡ぐ着眼点がとてもセンスがあると感じました。56キロの黒鉛が使用されている事実が使用する人たちにどのように作用してくるのか、デザインされ尽くされているとより良い提案になると思いました。

Fingers-go-wild
作品名
Fingers-go-wild
作者
Ma Kwan Lam

作者コメント

子どもたちの描く絵は純粋で、むき出しで、素直なものだと感じる。子どもたちは、純粋に人間としての本来の意図で創作をする。描くことは人間にとって簡単なことのように思えるが、初めて挑戦したときの難しさを覚えているだろうか。もしペンがその初めての体験を再現できるとしたらどうだろう。このペンが、普段当たり前に使っているものを見直すきっかけになることを願う。ペンは単なる筆記具ではなく、コミュニケーションの本質を内包し、アイデアの表現を可能にする。

評価コメント

大人になって、クレヨンと接する機会も少なくなりましたが、改めてクレヨンにワクワクし、使ってみたい!と思いました。 タコのような、イカのような、エイリアンのような、持つ人によって想像力が掻き立てられて使う人によってさまざまなアウトプットが 生まれそうな作品だと感じました。

かつて
作品名
かつて
作者
肥後 環希、武原 明歩

作者コメント

『かつて』は何かに生まれ変わることができるものを使っていることを実感できるノートです。私たちは漂白された再生紙に文字を書いています。環境に優しい紙の仮面を被った、環境に悪い再生紙に文字を書いてるのです。再生紙とはまっさらな状態ではない、使われた歴史、記憶が残っていてもいいのではないでしょうか。昔何かを書いた紙のもとの姿が少し見えることによって、再生したことがより実感できるはずです。

評価コメント

カウネットでも「つなげるーぱ!」という小学校の児童が使い終わって要らなくなったノートを回収し、コクヨのノートの一部の原料として利用する取り組みを行っています。その取り組みで見えた「個人情報保護」の観点では商品化のハードルは高いと感じましたが、例えば小学校を卒業する時の記念品にするなど、今後の展開の幅があると思いました。

栞
作品名
作者
ZHUYANSHUO

作者コメント

時折、私たちは未読の本を思わず脇に置いて、それらを忘れてしまいます。このデザインのインスピレーションは、本自体に付属しているしおり紐から来ており、しおり紐を延長してブックスタンドに変えました。特別なブックスタンドに本を置くことにより、各本は彫刻のように、まだ読まれていないことを伝えています。同時に、ブックスタンド自体も「しおり」の特性を持ち、どこまで読んだかが直感的に表示されます。このデザインは単なる本についてだけでなく、ブックスタンドの役割を再考したもので、ブックスタンドを読書行為に関連する製品に変えました。

評価コメント

「栞」は読書の瞬間を形にし、読者の感情や知識を可視化できるプロダクトです。この「栞」を他者と共有することで、共感や共創を促すことができるのでは・・・と、読書を新しい次元へと導き、創造性が広がる点がワクワクする未来を予感させてくれました。

ITZULI
作品名
ITZULI
作者
meem (Cristina Echeveste, Nicolas Marquez)

作者コメント

ハイパーコネクティビティの時代にあって、逆説的だが、多くの人がますます孤立感を感じている。もし、スマートフォンがしばらくの間、石になったらどうだろう。古代の道具にヒントを得た疑似的な刑務所が自由をもたらし、デジタルの重荷からの解放を提供する。バスク地方で「戻ってくる」という意味のItzuliは、現実の世界に戻る感覚を表現している。つながりを断つことで、ふたたびつながる。

評価コメント

今では生活に欠かせないツールとなっているスマートフォンが一種の重荷になっています。そのスマートフォンと距離を置くツールというのは現代人なら誰でも共感できるコンセプトだと思います。
提案された「もの」に対する、機構的な部分であったり形の部分について、深い説明を聞いてみたいと感じました。

Bloom
作品名
Bloom
作者
Zhou Wenbiao

作者コメント

水彩絵の具がただのつまらない固まりなのはなぜ? 花をかたどった水彩絵の具で、子どもたちに心ゆくまで描いてもらいましょう!

評価コメント

絵というアートを生み出す「ツール」である絵の具そのものを「アート」にする作品です。
ただ描く道具でなく、絵を描くことをもっと楽しめる手段になりうると感じています。
絵を描く人に、花の変化や飾り方、大切な人へのプレゼントなど、既存の絵の具にない発想の広がりを期待しました。

一マス漢字帳
作品名
一マス漢字帳
作者
久保田 峻介

作者コメント

これまで紙面を埋め尽くしていた枠を一マスまで減らし、その他を空白にすることで、自由で、自発的な学習を促す漢字ノートの提案。近年のあらゆる媒体の電子化によって、文字は「書く」から「選ぶ」時代に変化している。書けない漢字でもすぐに打てるし、知らない言葉でも簡単に使える。そんな状況だからこそ、私たちはこれまで以上に自らの文字や言葉に興味を抱き、理解を深める必要があるのではないだろうか。

評価コメント

同じ字を何度も書いて覚える学習方法がある中で、覚えるから一歩踏み込んだ学びを体験できる作品だと感じました。漢字の成り立ちだったり、 友人の名前の漢字であったり、似てるものを探したり、多くの視点を学びに取り入れられるとてもワクワクできる素敵な作品だと思いました。

染め花
作品名
染め花
作者
A STUDIO(Chen Yang、Jiang Fang、Lyu Muzhi)

作者コメント

花が美しい色を開く本質的な過程は染色であり、細胞の生命の再現です。アロマオイルを花弁の形に折りたたんだ紙に滴らせると、紙の中心が徐々に色で満たされます。紙の折り目や染色の拡散速度の特性により、每回ユニ一クな色と模様が生まれ、自然の花のように、每回が独特の開花となります。

評価コメント

自然界の花のように、アロマオイルを塗布することによって毎回変わる花の表情は、私達に多様な姿を見せてくれると共に、違いが持つ個性の良さを表してくれていると感じました。見た目も美しく、香りで癒され、さりげなくあると、日々の生活が彩り豊かなものになると思いました。

おこうカレンダー
作品名
おこうカレンダー
作者
RonCha(朝長 夏凜、高橋 里緒)

作者コメント

情報が飛び交う今の社会には便利な物で溢れかえっています。私たちは一息つこうとした時、無意識にスマホを開いて情報を得ようとしてしまいます。果たしてそれは本当の休息と言えるのでしょうか。このお香は3分間効果を発揮します。1日1回、たった3分でも目を閉じてリラックスして欲しいという思いで制作しました。1ヶ月、スケジュール帳を埋めるように様々なな香りのお香をカスタマイズしてお香に並べます。

評価コメント

多忙な日々に「香りを楽しむ」癒しの時間を少しでも作れる作品。好みの香りを見つける良いきっかけにもなりそうです。近年タイムパフォーマンスが重視される一方で、自分と向き合う時間への注目も高まっており、現代にぴったりのプロダクトだと感じました。またアドベントカレンダーにするなど今後の展開に期待が持てます。