NEW GENERATION 賞

NEW GENERATION 賞 は、
コクヨデザインアワード2025の全応募作品の中から
学生の応募作品を対象とし、
商品化を前提とせず、
アイデアや着眼点に魅力がある作品を選定し、
次世代を担う若い世代の次なる挑戦を
後押しする目的で設定されました。

NEW GENERATION 賞

風の回り方
作品名
風の回り方
作者
一條 遥貴

作者コメント

紙でできた、風を捉える小さな方法論。風車の少しだけ新しい文体。

評価コメント

目に見えない風という現象の可視化を試みるというアプロ―チは、今回のデザインアワードのテーマであるプロトタイプを一番素直にとらえている作品であると感じました。まだものとしては途中段階ではあるものの、手を動かしながら考えているプロトタイプはまだ見ぬ佇まいが生まれる可能性を秘めた作品であると感じました。

Juicy Fruits
作品名
Juicy Fruits
作者
Chen Cheng, Wang Chao

作者コメント

私たちは果物を見ると、いつも皮の下の甘くておいしい果肉を期待してしまう。 この色素を手に絞り出すと、この瞬間にジューシーな果実と鮮やかな色彩が絡み合っているように見える。それは、顔料のパッケージと色自体との一対一の対応を覆すものである。果物に対する経験則から、色への期待感を増幅させ、使用時に人々に心地よい心理的感覚をもたらす。

評価コメント

パッションフルーツのように、フルーツは鮮やかな外見と鮮やかな中身のギャップも魅力的です。こちらの作品も、外見と中の色に違いがあり、キャップを開ける前からワクワクさせてくれます。本物の果物のような楽しさが感じられ、実際に手に取ってみたくなる素敵なアイデアだと思いました。

時差恋
作品名
時差恋
作者
Jiang Xiaowen, Zhou Yitong

作者コメント

タイムゾーンラブは、異なるタイムゾーンにいるカップルのために特別にデザインされた時計。恋人が海を越えて遠く離れた場所にいるとき、あなたの関心は今、ここだけでなく、その時、そこにもあるかもしれない。だからこそ、時差を調整した文字盤を備えたこの時計をデザインした。時針はパートナーの時間を表す数字を指し示すため、自分の時間は従来の文字盤に合わせる習慣が必要。異なるタイムゾーンが同じ時計の針の上に共存し、異なるタイムゾーンの恋人たちが切望する同じ瞬間を共有できる。

評価コメント

腕時計に離れた人の時刻を表示するアイデア自体はよくありますが、この作品は文字盤のデザインや工夫が評価されました。ひとつの文字盤の中で相手と自分の時刻を可視化し、通常の文字盤とは異なるデザインにすることで、独自の魅力が生まれています。ユニークな発想とデザイン性の高さが素晴らしいと感じました。

拭くための画材
作品名
拭くための画材
作者
平井 大心、永島 勘成

作者コメント

この「拭くための画材」は、先端がスポンジでできており、曇った窓に絵を描きながら拭き掃除できる筆です。 冬の寒い日、結露で曇った窓に指先でそっと絵を描いた経験はありませんか? けれど、指は冷たく濡れたり、指跡が残ってしまいます。 そんな問題を解決し、より美しい表現を楽しめるように、この筆を考えました。 曇った窓がキャンパスとなり、筆先で窓を描くたびに掃除されていきます。 結露をもっと楽しく、もっと自由に表現できるように。

評価コメント

結露で曇った窓ガラスを土台にし絵を描く。ネガティブをハッピーに変える考え方が素敵でした。複数の筆を使い分け、最後に黒板消しで拭くことで掃除も出来る「用の美」を備えた作品です。もの作りには、日常を豊かにすることも大事だと思います。描く人も見る人も明るい気持ちになれそうです。

わかる傘立て
作品名
わかる傘立て
作者
日野 隼輔

作者コメント

公共の傘立てに、ビニール傘を入れておくと、自分の傘がわからなくなる。本作品は、人間が記憶しやすい配色をすることで、どこに自分の傘を入れたか「わかる」傘立てである。目立つ色は忘れ物防止、盗難防止に繋がり、子供も楽しんで片付ける仕掛学要素も提供する。ビニール傘の消費量世界1位の日本にて、一本の傘が少しでも長く使用される事を目指して。本作品が、「配色し、可視化する」という簡易行為の中で、多角的な効果を生み出すデザインの起爆剤となる事を願う。

評価コメント

傘立ての区画ごとに色を付けるという小さな変化で、忘れ物や盗難防止だけでなく、子どもが楽しく片付けできる点が秀逸だと感じました。機能面だけでなく、雨の日にカラフルな傘立てが目に入ることで、気分を前向きにしてくれる情緒的な魅力もあります。実用性とデザイン性を兼ね備えた素晴らしいアイデアだと思いました。

ちそうのごちそう
作品名
ちそうのごちそう
作者
岩谷 真希

作者コメント

ゴミ=捨てる、への新しい提案をする鉛筆削り。 削りカスが溜まることでその人だけの地層を作り出します。 書くための削る行為が、削るために書くなんていう贅沢な行為になっちゃうかもしれない。 デジタル化が進み、書くことが減ったいま、新しい「書く」の流れを作り出すとどんなことが起こるかなと考えて提案します。 削る部分と溜める部分が交換可能で、A4、B5など好きなサイズを選べるスリムな鉛筆削りです。

評価コメント

自分が書いたものが「地層」として蓄積され、目に見える形になるのがとても素敵でした。「塵も積もれば山となる」を体現したデザインで、勉強中にこれを見れば、コツコツ頑張ってきた証として前向きになれそうです。デジタルデバイスが主流の今だからこそ、提案する価値のあるデザインだと感じました。

prot note
作品名
prot note
作者
栗田 優来、田中 奏衣、野間 咲里、川口 菜穂

作者コメント

中心に5mmおきに整列した点、周囲にはランダムに点が配置されたノート。中心部ではきれいにノートを取ることができ、周囲の点が整列していないスペースには、綺麗に書くことを意識せず試行錯誤を自由に書き込むことができる。試行錯誤の中には正解ではないものも含まれるが、これは間違いではなく、正解にたどり着くまでの「プロトタイプ」である。このノートは、そのプロトタイプを気楽に記録できるノートである。

評価コメント

中央に規則性を持ちながらも周囲に自由なドットが配置されており、思考のグラデーションを表現する素晴らしい作品だと思いました。思考を邪魔せずに補助するデザインにワクワクしましたし、記録を読み返す際や他者との共有において、新しいコミュニケーションの形を感じました。

光プランナー
作品名
光プランナー
作者
高 榕、謝 敏、劉 羽双

作者コメント

光プランナーは、光の針と半透明の付箋を組み合わせた革新的なスケジュール管理ツールである。時計フレームに付箋を貼り、光の針が透過して現在のタスクを指し示す仕組みを採用している。予定の変更は付箋を剥がして新たに貼り付けるだけで、柔軟かつ簡便にスケジュールを調整することが可能である。 本デザインは、時計の時間表示機能を再解釈し、「時間の指示」と「タスクのリマインダー」を融合させた新たな時間管理の形を提案するものである。また、付箋というコクヨにおける典型的な製品に着目し、その新たな使用方法をデザインしたプロトタイプとして、未来のデザインの可能性を示している。

評価コメント

透明付箋と光時計の組み合わせが新鮮でした。タスク管理は忙しい時に慌ただしく行うイメージがありますが、実現すれば、丁寧にタスクを付箋に書き出し気持ちにゆとりを持ちながら一日を終えられそうです。静かな達成感と癒しをもたらす効果が期待でき、日常のスケジュール管理を進化させるポテンシャルを感じました。

氷水
作品名
氷水
作者
山田 桃子

作者コメント

皆さんは氷が溶けていく様子をじっくりと観察した事はあるだろうか?  本作品ではその様子を水のりを使用し表現した。 本体は少し柔らかい素材のため、押すことにより内部に入っている水のりを出すことができ、使用している最中に氷が溶けて水になる様を体験できる作品だ。 クリアな質感の見た目にこだわり、誰がみても一目で氷とわかるような表現を心がけた。 「氷」としては無くなってしまっても「水」として在り続ける。その美しさを体感して欲しい。

評価コメント

シンプルに美しさにときめきました。機能性の追求ではなく、氷が溶ける姿を表現するために液体のりを使うという発想もアートのようで面白いと思いました。地球温暖化についてのメッセージが使うたびにリマインドされるようなことも、シリーズになるとさらに強く伝わりそうだなと思いました。

はとぽっぽカッター
作品名
はとぽっぽカッター
作者
重山 和香

作者コメント

カチカチした鋭利な刃を出す文具の中の少し怖いカッターをどうにか親しみをもちやすくするために音に注目し、考えてみました。何気ない発想の一部からはとぽっぽカッターの提案が生まれました。

評価コメント

先入観を壊すことの難しさを改めて感じる一方、慣れ親しんだシンプルな道具にも新たなアイデアがあることに気づかされました。仕事や生活の中でも先入観を打破できる可能性にワクワクし、刃のストッパーをカスタムして音階をつくったり、ダイヤル式への応用など、広がる可能性を感じました。